
Kazuo Mitsui, President and Representative Director of YOURSOFT Inc. (photo: SAP AG)
激動する経営環境を積極的に支える “変化に耐えうるシステム”を目指して
素材の総合メーカーとして電子材料、非鉄金属、環境・リサイクル、部品事業などを通じて、国内外の幅広い産業に貢献する三井金属鉱業株式会社。グローバルビジネスを支える統合的な情報基盤として13年にわたってSAP® ERPを活用してきた同社は、さらなる成長に欠かせない「変化への対応力」を強化するため、SAP Enterprise Supportを採用しました。システムの潜在的な課題を把握・改善し、パフォーマンス向上を図ることで、各事業の競争力向上の支援を行っています。
世界的な不況を生き抜いた経営改革
製造業の原点である「ものづくり力」に立脚し、電子材料、非鉄金属、環境・リサイクル、部品事業などを展開する三井金属鉱業。なかでも自動車ドアロック部品、銅箔の分野では世界トップシェアを誇ります。
しかし約2年前のリーマンショックをきっかけとする世界的な景気の悪化とともに、金属価格は下落し、電子機器および自動車産業での需要も激減しました。非鉄金属を中心とした総合素材メーカーである三井金属もその直撃を受け、設立以来の経営的な危機に陥りました。
この危機を乗り切るため、三井金属グループは大合理化を実施。海外を含めた4,000人規模の人員の合理化と全社的なコストダウンを断行しました。特にコストダウンの取り組みについては、起業投資はすべてゼロベースで見直しを図るという思い切ったものでした。すでに予算が認可されていた計画も再検討を行うことで投資額を必要最低限に絞り込み、管理費・間接費の削減にも取り組みました。これが原動力となり、2009年度は限りなくゼロに近い黒字を目指していた三井金属は、それをはるかに上回る上方修正という結果を得ることができたのです。
このときの大合理化は経営危機を乗り切るため、いわば一時的に行った対策でしたが、コストダウンの取り組みは継続して行われています。三井金属グループの情報システム構築・運用を担う株式会社ユアソフトの代表取締役 社長の三井一夫氏は次のように語ります。「現在はプロジェクトで培ったノウハウや管理基準などを事業部レベルに落とし込み、無駄を省くコストダウンの定着を図ることで、組織全体にその意識が根付き始めたところです。たとえば、原材料の調達は、効率化によってコスト圧縮を図る方法論に基づき、各事業部が主体的に取り組むようになっています。またグループ全体で調整が必要なものについては、サポートセクションが組織横断的に関与することで効率を高めています」
環境技術を中心に得意分野に注力
三井金属の従来からのコアビジネス(金属、中間材料、自動車部品)市場には、回復の兆しが見えています。たとえば、ここ数年iPhoneやiPadをはじめとするスマートフォンの人気が、電子機器のプリント回路基板に使用されている電子材料である銅箔の需要増につながっています。しかし、経営的には依然厳しい状況が続いていると三井氏は語ります。「非鉄金属のベースメタルは世界中で枯渇傾向にあり、そのことが原料価格を押し上げています。その一方、素材製品はコモディティ化が進み、販売価格の下落傾向が続いています。リーマンショックによる凄まじい落ち込みから生産量はある程度回復してきていますが、それがなかなか売上の向上に結びつかないという状況です」特に電子材料については、中国・韓国企業の躍進が著しく、三井金属もさらなる競争力強化に取り組んでいます。
たとえば、 金属のリサイクル、自動車排ガス浄化触媒技術などリサイクル・環境ビジネスの成長です。金属事業における亜鉛・鉛の生産は、三井金属創業当時からの事業の柱の1つです。以前は鉱石から精錬する形がほとんどでしたが、現在同社は、電炉ダスト、自動車の廃バッテリーなどから再び亜鉛・鉛を精錬するというリサイクルビジネスに力を入れています。
また自動車排ガス浄化触媒は、三井金属が30年来取り組んできた技術です。同社が研究・開発を進めてきた小型車(軽自動車、二輪車)の分野が、アジアを中心とした自動車産業の振興に伴い、近年大きく脚光を浴びるようになりました。事業全体に占める売上比率も伸長傾向にある触媒ビジネスは現在、コアビジネスの1つと位置づけられており、さらなる成長が期待されています。
さらに、三井金属は今後、次世代リチウムイオン電池などの新しい電池材料の開発に注力していくといいます。「当社は乾電池の原料である二酸化マンガンの主要メーカーとして、長年市場を牽引してきました。新しい電池材料の開発および事業化に関しても、これまでの豊富な事業経験や研究内容が大きなアドバンテージになると考えています」(三井氏)
